HOME    薬局ネタ  »  インフルエンザワクチンは効果がない?
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そろそろインフルエンザワクチンのシーズンがきましたね~

正直、今年はフルミストが間に合ってほしかったんですが、間に合いそうにないですね・・・

注射、大嫌いなんですよ、僕と長男(涙)


では今回のネタですが、薬剤師の仕事って、いかに処方元と円滑なコミュニケーションが重要かが問われると思うんですよね~

で、僕はこれが苦手なんですよ・・・

というわけで、今回みたいに、新聞でインフルエンザワクチンが無効と言われたとかあると、なんとなくそのネタで挨拶行ける気がする(気がするだけで、まだいってません・・・)

さて毎日新聞のインフルワクチン:乳児・中学生に予防効果なし 慶応大など、4727人調査の解説はつづきに書きます

では、解説編です。

元文献はこれEffectiveness of Trivalent Inactivated Influenza Vaccine in Children Estimated by a Test-Negative Case-Control Design Study Based on Influenza Rapid Diagnostic Test Results

もし万が一、患者さんから、「毎日新聞でみたんだけど乳児と中学生には効果がないのか?」と聞かれたら、こう答えようと僕は思っています。


まずこの新聞のもととなった研究は、PLOS ONEという雑誌に載ったもので、簡単にまとめるとこんな感じです。

           PLOS4


次にこの4727人になにをしたかというと、インフルエンザの迅速検査を行ったんです。

これで陽性とでたら、インフルエンザにかかっていると判断し、陰性だったらインフルエンザじゃないと判断しました。
(インフルエンザの迅速検査には、陰性とでたときの偽陰性が問題となることがありますが・・・)

           PLOS3


そして陽性と出た人達、陰性と出た人達、それぞれにインフルエンザワクチンの接種の有無を確認するんです。
陽性とでた人にはインフルエンザワクチン接種した人が少なくて、陰性と出た人は接種した人が多ければ、インフルエンザワクチンの有効だと考えることができますからね。

ちなみにこれは症例対象研究といわれるものです。

さてさて、それでは肝心の結果はどうだったかというと?

           PLOS2

全体でみれば、インフルエンザワクチンをうった子どもたちは、打ってない子供たちより0.55倍、インフルエンザ陽性と診断されました。

つまり、インフルエンザの予防効果があったというわけですね~


あれれ~っと、ここで、疑問が生まれますよね?

じゃあ新聞の乳児・中学生に予防効果なしはどこから、きているのかというと、この6カ月から15歳までの4727人を年代に分けて、有効性をチェックした一部の結果なんですよね

           PLOS1

           PLOS5


どっちもワクチンの有効性の信頼区間が0をまたいでいるので、有意差がでていません。

と、ここで毎日新聞がしでかしたミスがあります。

有意差がないことを、効果がないといってしまったことです。

有意差なし=効果があるのかないのか分からない状態です。

もちろん、かなりの大規模試験で有意差がでなければ、臨床的に効果はなさそうと判断して効果がないというかもしれませんが、今回のこの研究では、有意差がでていないことを、臨床的に効果がないといっていいだろうか?

           PLOS6

有意差がでていないといわれていた人たちは、参加人数が少ないですよね。

つまり参加人数が少なかったため、差を示すことができなかったのでは?という考えが浮上するわけです。

実際、インフルエンザワクチンの有効性を検証するうえで、妥当性が高いと言われているランダム化比較試験のメタ分析では、インフルエンザワクチンの接種により、インフルエンザの発症及び、インフルエンザ様症状の発症リスクも減少することが分かっています。

参考:インフルエンザワクチンは、子供に効果がありますか?

なので、新聞記事にあるように、今年の研究でも中学生は同じような傾向がみられるといっても、はいそうですかとは思えないんですよね・・・

ちなみに乳児に関しては、有効性があるのかはよくわかっていないです、2歳未満でのデータは限られているため、まだ議論中だったと思います。


というわけで2歳以上のこどもに関してはインフルエンザワクチンの効果はあると思います、ただ効果といってもインフルエンザ発症のNNTは10くらいだったと思うので、これに対して、どこまでのお金をだせるかは、個人個人によると思います。
あっ発症だけではなく、今回の論文でも紹介してませんが、重症化の予防効果もあったと思うので、それを踏まえて考えてもらえたらと思います。

以上だらだらと、思い出のマーニー見ながら書いたので、間違いもあるかもしれませんが、よかったら参考にして下さい


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Comment
2238
報道って
毎日新聞の記事には同じことを感じました。しかし私はるる~主さんよりひねくれており、ミスではなくミスリードであり、確信犯だと。
 つまりはセンセーショナルな記事で新聞や記事さえ売れれば真実など二の次、記事を読んでインフルエンザワクチンやめて入院・死亡しても記事を読みきれなかった読者が悪いのです。学校でのインフルエンザ集団接種を怪しい報道で世論を煽いでやめさせた朝日新聞、今回の毎日新聞、医療をネタとして飯の種にするのはやめて欲しいものです。
 ちなみに私はアリバイ作りのため毎年注射しますが、アレルギーのため毎年注射できない事務も同じくインフルエンザにはかからない不思議。

2240
>ワウワウさん

返信が遅くなり、申し訳ありません。
確信犯って可能性もありますよね(笑)
僕としては基礎研究での結果を、すぐに人にも適用すると思いこんでたりするイメージがあるので、情報リテラシーが低いのではないかな~と思ってます。

大人の健常人のワクチン効果に関しては、インフルエンザ発症予防がNNTで70くらいで、インフルエンザ様症状が40ってところですから、大した効果はないかもしれないですね~

僕も職場上、接種しますができれば打ちたくないですw

2245
最近駄コメ連発で前もってごめんなさい。
この報道はセンセーショナルな見出しで驚きましたが、最近すごい発見のプレスリリース多いですよね。でも、プロスワンですよ~。プロスワンを腐すわけではないですが、さすがにこの一報で世の中変えようとはふてぶてしい気がします。
今回の論文にnot effective、 less effectiveと書いてあるのを毎日新聞は翻訳しただけ、とも受け取れます。結局るる主さんの言われる我々の情報リテラシーてことになるかもですが、研究内容にリテラシーある人の方が少ない訳で、基礎研究成果の報道はこれからも国民を混乱させそうです。

2250
>おもっちさん

コメントありがとうございます。
全然、駄コメじゃないですよ~、僕も色々な意見をきくことで理解が深まるし、いい勉強になるので、これからも気軽にお願いします

ちなみに僕、プロスワンという雑誌の立ち位置がよくわかっていないんですよね・・・周りのリアクションから、まぁ微妙な雑誌なのかな?とかいう先入観はあるんですけど。

あと情報リテラシーの問題はなかなか根付かないですよね

うちら薬剤師の作用機序も所詮は仮説にすぎなかったりする場合もありますからね(基本メカニズムは基礎研究でわかるものですから)

あと相関関係と因果関係もよく間違えてしまうことも多いですよね。。。

受動喫煙により、子どもの虫歯が増える~みたいなのも、子どもの前でタバコ吸うような親だから、お菓子とジュース、歯磨きとかも出来ていないからじゃん?とか思っちゃいます。
(原著読んでいないので、誤解してたらすいません)

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